「ひらパー」ひらかたパークのマーケティングは独自戦略で成功!経営難を脱出した集客とは
- 競合が多く、自社の強みを活かしきれていない….
- 集客で差別化に悩んでいる
- ひらパーのマーケティング方法が知りたい
そんな悩みを抱えている個人事業主のあなたへ。
この記事ではかつて経営難に苦しんだ遊園地ひらかたパーク(ひらパー)が独自のマーケティング戦略でV字回復を果たした事例を紹介します。
ひらパーの成功の秘訣は顧客が「行きたくなる理由」を徹底的に追求した点にあります。
顧客の心を掴む具体的な方法、そしてあなたの集客が成功するヒントがひらパーのマーケティングにはあります。
ぜひ最後まで読み進めて、明日から集客の戦略に役立ててください。なぜならひらパーの戦略は、他の業界でも応用可能な普遍的なものだからです。
ひらかたパークのマーケティングの奇跡
ひらパーとは?
ひらかたパーク(通称:ひらパー)は大阪府枚方市にある遊園地です。
その歴史はなんと1912年までさかのぼり、地元の人から親しみを込めてひらパーの愛称で呼ばれています。
園内にはジェットコースターやメリーゴーランドなど定番アトラクションも揃えられ、他にも夏のプール(ザ・ブーン)や冬のスケートリンク、そしてイルミネーションイベントなど、季節ごとに異なる楽しみ方ができることが魅力です。
遊園地といえば、絶叫マシンや華やかなパレードをイメージする方も多いでしょう。しかし、ひらパーは他の大型テーマパークとは一線を画す、独自の路線で人気を集めているんです。
一体どんなところが違うのか〜?
それは、続きを読んで、ひらパーの秘密を探ってみましょう!
経営難だったひらパーの現状
長年、地元の人々に愛されてきたひらパーですが2000年代に入ると、深刻な経営難に陥ってしまいます。
数年前まで毎年1億円前後の赤字だったのよ
少子化や、レジャーの多様化などで来場者数の減少しました。そしてUSJや東京ディズニーランドなどの大型テーマパークによる競争が激化…。
USJの存在はひらパーにとっては大き過ぎた存在だったわ
これらの要因が重なり、ひらパーは存続の危機に立たされたのです。
実際に年間の入場者数はピーク時の160万人から、半分の87万人にまで落ち込み、閉園も検討されていたのです。
歴史ある遊園地は時代の波に飲まれていたんだね…
大型テーマパークのような大規模な投資やリニューアルもできない状況下で、ひらパーは本格的な対策を迫られていたのです。
しかし、この逆境がひらパーのマーケティング戦略の転機となりました。
V字回復の立役者!奇跡のマーケティング戦略
ひらパーは入場者数が2016年に120万人にV字回復を果たしたのです。
経営難に苦しむひらパーですが2009年に「ひらパー兄さん」というキャラクターを投入します。ここから画期的なマーケティング戦略をスタートさせます。
従来の遊園地のイメージに捉われない斬新な広告展開やイベント企画が大きな話題を呼び、来場者数と売上を大幅に増加させました。
- ブラックマヨネーズ(小杉・吉田):ひらパーのCMに長年出演しており、園内アナウンスやイベントにも登場しています。
- 岡田准一(V6):イメージキャラクター「超ひらパー兄さん」としてCMやポスターに登場し、斬新なアイデアで話題を集めています。
- 関西ジャニーズJr.の伊藤翔真さんと伊藤篤志:さんが、「ちび園長」として岡田准一さんと共演し、CMに登場したことがあります
ひらパーは映画やキャラクターの世界観、アトラクションの魅力だけでは、集客することが難しかったのです。
そのため、ひらパー兄さんのところ遊びに行きたい、応援したいという思いが人から芽生え、集客に繋がったと考えられます。
知りあいの居酒屋に行くみたいな感覚っすね
その後、ひらパーは多くのメディアに取り上げられ、一躍(いちやく)知名度を獲得したのです。
他のテーマパークと違う、独自路線!
ひらパーは大規模な投資もできず、また有名キャラクターに頼ることが難しかったのです。
そのため、独自のプロモーション力と企画力を戦略として独自路線を走ったのです。
例えば、ひらパー兄さんを活用したストーリー性のあるマーケティングは他のテーマパークにはない、独自性を生み出しました。
また目隠しライドなど、既存のアトラクションにを活用して面白い企画も話題を呼びました。
東京ディズニーランドやユニバ(USJ)のような華やかさ、スケールの大きさはありません。
しかし、地元密着型の遊園地ならではの強みを活かしたのです。
- ひらパー兄さん(V6:岡田准一)の音声が電車で流れる。「枚方公園駅に特急止めまーす」
- 親しみやすい、キャラ設定で、心を掴むCMや戦略
- CMは広告会社に任せず、工夫をして全て社員達で決めている
- 目隠しをしたアトラクションなどを企画
- プールやイルミネーションなど、季節限定のイベントを強化した
- X(旧Twitter)・インスタグラムなどのSNSを強化
2016年:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)はひらパーの約12倍の1460万人を記録しています。
ひらパーの来場者数は大阪で2位を誇るけど、1位とは圧倒的な差があるね
マーケティング戦略の1つに、ナンバーワンと張り合えるようになるには、独自のアイデアや属性を見つけることが大事とあります。
資金力や規模で勝る大手テーマパークとは異なる戦略として、ひらパーは「自虐ネタ」や「ブラックジョーク」を交えながらも、顧客の心を掴むユニークなマーケティングを展開しました。
ひらパーの独自性は地元密着型と、大阪的面白いさを属性を持ったのです。
成功の秘訣に迫る!ひらパーマーケティング戦略
ひらパーのV字回復を支えたマーケティング戦略は、従来の遊園地の常識を覆す革新的なものでした。
ここでは、その戦略の核心に迫り、具体的な事例を交えながら解説していきます
赤字からの脱出には、売上アップからの逆算
ひらパーの経営陣はまず、赤字脱出のためにコスト削減ではなく、売上アップが不可欠だと考えました。
予算が限られている中で、いかにして売上を伸ばすか。その答えは来場者を増やすことでした。
まずは、明確な目標設定をします。漠然と集客数を増やすことよりも、赤字からの脱出のために、必要な売上を明確し、そこから逆算して必要な来場者数を算出します。
次に何をすれば人々は地域密着の小さな遊園地に来てくるのかを考えました。
例えば、年間1億円の赤字を解消するために、客単価を考慮して100万人の集客増が必要だと仮定します。そのために、必要な広告費やキャンペーン費用を算出し、限られた予算を最大限に活用する筋道を立てていきます。
売上をアップさせることはどこの企業でもやっていることです。
徹底的に逆算しながら、考えることが大切なんだね
逆算することで、予算やリソースを見直し効率的に集客を行えるのよ
認知率が高くても売れない
ひらパーは地元認知率が100%です。それだけでは集客に繋がらないという、現実を突きつけられたのです。
それは、人は行かない・買わないフォルダに入ってしまうと、広告を見てもなかなか、ひらパーに行くという行動に繋がらないのです。
また人々の遊園地に対するニーズは多様化し、単に「知っている」だけでは足を運んでもらえなくなっていきました。
認知率が高いことで、行かないフォルダに入ってしまって、行かない場所になってしまったんだね。
そうなの。だけど、認知率が高いとはいっても、東京ディズニーランドやUSJのような認知度はないわ。
- 「ひらパーは懐かしい」
- 「子供の頃に行ったことがある」
- 「昔に連れていってもらったな〜」
といった意見が多く見られ、現在のひらパーに関する興味が少ない状態でした。
「値段が高い」「混雑している」「子ども向けすぎる」など、遊園地に行かない理由は人それぞれです。ひらパーはこれらのネガティブなイメージを払拭するだけでなく、ターゲット層に合わせた魅力的なコンテンツ開発をすることで、「行ってもいい」と思わせる戦略をとりました。
認知率の高さを活かして、人々が「行きたい」来園したくなる理由を作る作戦に出たのです。
行く理由を2つ作る!行かないから行ってもいいに変える
ひらパーは「行かない理由」を払拭し、「行ってもいい理由」を複数提示することで、顧客の心を掴みました。
集客に成功した秘訣の1つは「行く理由を2つ作る」戦略です。
行く理由を2つ作ることで、人は足を運ぶ確率が上がります。
行く理由1つ目は何にしたの〜?
V6・岡田准一がひらパー兄さんとして誕生し、園長となりました。彼の地元愛をアピールすることで、ファンの関心を集めたのです。
ひらパー兄さんのCMでは、従業員に「100万人行かなきゃ、用済みだ〜」
また、ひらパー兄さん自身が「100万人達成できなければ、園長を辞めると約束しました」
ひらパー兄さん宣伝を見て、「応援したい」「ひらパー兄さんのやっている遊園地に行ってみたい」という思いが出てきます。
確かにひらパー兄さんの宣伝を見ると、園長が身近に感じて足を運びたくなるね。
- 大人も楽しめる期間限定お化け屋敷(ホラーナイト)
- ロシアン観覧車:真っ暗で景色が見えない
- イルミネーション
- 目隠しライド:ジェットコースターやフリーフォール
- ひらパー兄さんアイマスク
- 進撃の巨人とコラボ:他にもコナンくんなどのアニメコラボ
- インスタ映えスポット
実際に、目隠しライドはSNSでも話題になりました。
ひらパー兄さんの目の部分がプリントされたアイマスクを購入するか、無地のアイマスクが無料で提供されます。
アイマスクを装着した状態でジェットコースターなどの乗り物に乗ることで、スリルは格段にアップ。
いつ落ちるかわからない恐怖を楽しむことができるだね
費用はアイマスクの制作費だけで、予算を抑えることができたわ。
このようなイベントが期間限定でやっている点もポイントなんです。
今しかないと感じてもらうことができる他に、次のイベントを楽しみにする心理効果が働きます。
大人も楽しめる絶叫マシンやホラーアトラクションの導入、カップル向けのロマンチックなイルミネーションイベントなどを開催しました。
それは従来の遊園地のイメージを覆す新たな試みでしたが、幅広いペルソナ設定は成功。
その結果、来場意欲が高まり、100万人という目標を達成しました。
おもしろい宣伝
ひらパーは大阪人の特有のツッコミ精神をくすぐる広告がたくさんあります。
ひらパーは従来のイメージを覆す、インパクトある広告展開を行いました。お笑いやネタのジョークを交えながら注目を集めました。
親しみやすくて、どこか憎めないね。
ひらパーの宣伝のおもしろさは、記憶に残りやすくて口コミで広がり大きな話題を呼んだわ。
ストーリーマーケティング
人気俳優のV6・岡田准一を園長にしたことは、単なる話題作りではありませんでした。
園長というキャラクターを設定することで、長期的な視点に立ったストーリーを展開するためだったのよ。
ストーリーマーケティングとは商品やサービスをストーリー(物語)を通じて伝えることで、顧客との感情的なつながりを築くマーケティング手法のことです。
園長就任のニュースから始まり、園長自らが出演するユニークなCM、園長プロデュースの新アトラクションなど、常に話題を提供し続けました。
またメディアの露出を増やし、ひらパーのブランドイメージを向上させることに成功したのです。
一連のストーリーを展開し、挑戦を続ける姿に人々は、ひらパー兄さんの物語に自然と引き込まれていきます。
彼の地元愛を全面に出したキャンペーンを行うことで、感情移入を促進しました。
顧客を巻き込み、感情移入させるストーリーマーケティングは単なる広告以上に深い印象を与え、来場者との絆を強める効果があります。
発想の転換でピンチをチャンスに変える
経営難に陥った時、多くの企業はコスト削減や事業縮小といった守りの姿勢になりがちです。
しかし今までの方針を見直し、新しいアイデアを積極的に取り入れることで、ピンチをチャンスに変え、V字回復を実現しました。
危機的状況だからこそ、通常では考えつかないような大胆な発想ができたのかも知れません。
ピンチに直面したとき、発想を転換することで、新たな道が開ける。ひらパーのマーケティングからは柔軟な発想力の重要性を学ぶことができます。
ひらパーマーケティングを取り入れる3つのステップ
ひらパーの成功事例を踏まえ、今度はあなたのビジネスにも応用できるヒントを探っていきましょう。
ステップ1:自社の強み・弱みを分析する
まずは、客観的な視点で自社の強みと弱みを洗い出すことから始めましょう。
自社の強みと弱みを客観的に分析することで独自性の高いマーケティング戦略を立案することができます。
ひらパーの場合、大型テーマパークに比べて規模が小さいことや予算が限られていることが弱みでした。
しかし、地域密着型で色々チャレンジできることはひらパーの強みでした。
個人事業家でも弱みは克服すべき課題ですが、発想を変えれば強みに転換できる可能性も秘めています。
自社が持つリソースや独自の強みをリストアップし、弱みを強みに転換する逆転の発想を持つことが大切です。
ステップ2:ペルソナを設定し、ニーズを明確にする
誰にどんな価値を届けたいのか?を明確にしましょう。
万人受けを狙ったペルソナ設定では、顧客の心に響きません。
ペルソナ設定をした人は何を求めているのか、どのような価値を提供すれば興味を引くことができるのか理解することが必要です。
ペルソナ設定をし、ニーズを明確にすることで、顧客の心を掴む宣伝をすることが可能になります。
例えば、地域に根ざしたビジネスを展開する場合は、地元のニーズを的確に捉えることが成功の鍵を握ります。
また相手に寄り添ったマーケティングを行うことも大事です。
ステップ3:独自性のある戦略を立案する
ありきたりな戦略では、相手の心を動かすことはできません。
ひらパーでは、他の遊園地と差別化を図るために、独自性のある戦略を実践しました。
斬新なアイデアでインパクトのある広告や、ストーリー性のマーケティングで、他の遊園地にはない独自の価値が生まれました。
独自性のある戦略を立てるには、発想力と創造力が必要不可欠です。既存の枠にとらわれない自由な発想で、新しいアイデアを生み出しましょう。
個人起業家であっても独自性のある戦略は競合との差別化を図るだけではなく、顧客に強い印象を与えることができます。
市場のトレンドや顧客の声を取り入れながら、自社ならではの強みを活かしたマーケティング戦略を立案し、実行に移しましょう。
ひらパーマーケティングを参考にする際の注意点
ひらパーのマーケティングは個人起業家にとって参考になる点もある一方で、真似をするだけでは成功につながらない側面もあります。
単なる話題作りではない
V6岡田准一氏の出演映画(永遠の0)や(図書館戦争)などのパロディーポスターがあります。他にも「ひらパーは毎年1億円の赤字」です。一見すると話題作りや炎上商法に見えるかも知れません。
しかし個人起業家が同じようにパロディー宣伝や商品を出しても、「ただのパクリ」となってそ、宣伝や商品だけが注目されて集客や売り上げに繋がりません。
重要なのは、あくまでも顧客を楽しませ、共感を得ること。そのためには、綿密な戦略と計算に基づいた上で、ギリギリのラインを狙うセンスが求められます。
あくまでも、顧客との良好な関係構築を目出していることを忘れてはいけません。
いっときのブームで終わらせない
広告展開で注目を集めることよりも、大切なのは持続可能なブランド戦略を構築することです。
マーケティング戦略では一時的なブームを生み出すことがあります。しかしそれだけでは持続的な成功は望めません。
ひらパー兄さんに関しても、単発イベントではなく継続的なシリーズ展開されました。
地域に根ざした活動や、季節ごとのイベントなど、継続的な取り組みも行っています。これにより、一時的な盛り上がりで終わらせず、持続的な関心と集客を実現しているのです。
ブームを起こすことも大切ですが、それを継続的な成功につなげる努力が必要不可欠です。常に新しい魅力を提供し続けることが、長期的な成功の鍵となるでしょう。
地域性の違いを軽視しない
ひらパーでは関西圏の人を対象とした戦略によるものです。
個人起業家がひらパーのマーケティング戦略を取り入れる場合に、地域性の違いを十分に考慮する必要があります。
例えば、北海道と東京など、異なる地域で事業を展開する場合、その土地柄や文化に合わせたアプローチが求められます。
地域性の違いを軽視すると、せっかくの戦略も的外れになってしまう可能性があります。
まとめ:ひらパーから人に感動を与える方法を学ぼう
深刻な経営難に陥ったひらかたパーク(ひらパー)は、その後、独自のマーケティング戦略でV字回復を果たしました。
その成功には「顧客が行ってもいい」と思える理由を2つ作るという戦略が大きく貢献しています。
認知度が高くても、具体的な行動に繋がらなければ意味がありません。ひらパーは岡田准一氏を起用した話題性や目隠しライドなどの斬新な企画で、顧客の心を掴むことに成功しました。
個人事業主にとっても「顧客が商品を購入したくなる理由」を明確にすることは大切です。
自社の強みを活かし、顧客のニーズにそ捉えた独自性の高い戦略を立案することで、ひらパーのように成功を掴むことができるでしょう。
しかし単なる話題作りや一時的なブームで終わらせるのではなく、顧客との良好な関係構築を目指し、持続可能な戦略を構築していくことが重要です。